セオリープラクティスその3
型とクリープ現象
こんにちは(^^)江村鍼灸院の江村です。
型稽古をする時、守るべき大切なことがあります。
それはクリープ現象のように動くことです。
クリープ現象とは、自動車のオートマチック車で起きる、ブレーキをリリースすると車体が勝手に動き出す現象のことです。
アクセルを踏まなくても、車体がゆっくり前進します。
オートマチック車に乗ったことのあるひとは、分かると思います。
型の稽古では、このクリープ現象のように動くことが大切です。
少し言い方を帰ると、アクセルを踏まず、ブレーキのリリースで動くということです。
ブレーキのリリース=制動の解放
型の動作は突き、蹴り、受け、體捌き、移動で構成されています。
その突き、蹴り、受け、體捌き、移動、それぞれの動作に、速さを作らず、制動の解放で型を行います。
動きを止めるのは制動力です。
それを緩やかに解放します。
型は連続する姿勢と、それを繋ぐ動きで構成されています。
姿勢には態度が秘められています。
態度には方向性があります。
その方向性が次の動きを作り、次の姿勢に重なっていきます。
つまり型の姿勢と重なると、すでに方向性を持っており、自分で動きを作らない、内在した動きがある状態になります。
そのため型の動きを止めるのは、態度と方向性を保留するということになります。
その保留が制動力です。
武道では時に、ゆっくり動く練習をすることがあります。
それは姿勢が持つ態度と、その方向性で生じている動きを、緩やかに解放する練習です。
この条件を満たした練習をすると、自分の姿勢、姿勢に潜む態度、態度から見える方向性が分かります。
そしてそれを基準に、他者の姿勢からその真理が読みとれるようになります。
静を養う
それともうひとつ。
制動力への理解は『静』への理解へ繋がり、『静を養う』ことができるようになります。
パワーも理解することで、パワーを養えます。
スピードも理解することで、スピードを養えます。
強く速い攻撃は理想のひとつです。
ですが、強く速くなる『動を養う』方法に終わりはありません。
終わりはないけど、衰えはやってきます。
ですので、年齢、体格差、パワー、スピードという条件がだんだんと低下します。
しかし『静を養う』稽古では、自分に頼りません。
だから、年齢、体格差、パワー、スピードはありのままで大丈夫です。
型の持つ姿勢、態度、方向性が相手に効きます。
それが自分の形になって體現されます。
制動の解放は、すでに存在する方向性に重なるので、起点がありません。
起点がないと、時間軸のズレが起きます。
その結果、力と速さがキャンセルできます。
ひとは起点(溜め)を感じ反応します。
起点を感じれば『どこからどのくらいの』という予測ができ、対処できる可能性が高まります。
それが全くないと、反応できず、予測できません。
無防備になります。
無防備な相手には、強さも速さもありのままので効きます。
型の正しい行い方は静を養い、上記のことを可能にします。
型稽古では、クリープ現象のように動く(制動の解放)ことによって、相手を無防備にします。
『他者より強くなること』ではなく、『他者に一瞬だけ自分より弱くなってもらうこと』それが型の教えです。
このブログは健康と武道そして生活を最適化する方法について書いています。
何かのお役に立てれば幸いです。
江村拝
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