分解組手の上達システム
こんにちは(^^)江村鍼灸院の江村です。
空手では上達のために分解組手というものを行います。
分解組手とは術(わざ)を掛けることができるようになるための稽古です。
ですが、分解組手はただ行っても真の上達には結びつきません。
それはつまり、分解組手には真の上達のための押さえるべきポイントがあるということです。
分解組手で術を成功させる方法は大きく分けて三つあります。
それは↓
①身体操作
②物理法則のコントロール
③意識操作
の三つです。
この三つのうち①はひたらすら反復練習すれば分解組手が上手くなる可能性はあります。
ですが分解組手は上手くなっても、搏闘戦で使えるかどうかは分かりません。
身体操作による術の成功には、出力感覚(身体感覚)があり、できた、できていないという感覚があります。
多くのひとがこの『できたの感覚』を、分解組手で押さえるポイントだと勘違いしています。
この出力感覚は自分の調子や相手(體格や状態)によって変化します。
そのため術の成否も自分と相手によって相対的になるということです。
それでは分解組手の稽古としては0点です。
分解組手の稽古では成功も失敗も含めて絶対でなければいけません。
つまり絶対的稽古であることが分解組手には求められます。
では絶対的な稽古になるポイントとは何なのか?
それは自分が『術を掛けられた感覚』です。
分解組手をはじめて習う時は必ず、先生や兄弟子(上級者)に術を掛けてもらい、手解きを受けます。
この時に術を掛けられるので、必ず『術を掛けられた感覚』を知ることになります。
次に自分も掛け手となり、術の再現を目指します。
身体操作による再現はなかなか成功しません。
ですが真の上達システムには、すぐに術を再現する方法があります。
それは『術を掛けられた感覚』を受け手にも感じさせることです。
それはできる感覚を手放すことです。
術を掛けられても、先生や兄弟子が持っている術を掛ける感覚は分かりません。
そのためその感覚でできるようになろうとしても、本当の術の感覚を知ることはできません。
でももうすでに本当の術の感覚は知っています。
それが手解きによって学んだ『術を掛けられた感覚』です。
自分の感覚を手放して『術を掛けられた感覚』を、相手に傳えればそれで再現することができます。
言っていることが分かり難いひとは、目隠し傳導感覚ゲームをイメージしてみてください。
『術を掛けられた感覚』は目隠し感覚傳導ゲームに似ています。
目隠し感覚傳導ゲームとは?
このゲームで用意するものは⑴傳導者、⑵プレイヤー(回答者)、⑶コップ、⑷コップに収まる何かを数種類の四点です。
まずは傳導者という役があり、その役をやるひとが数種類の何かを用意します。
用意するものはコップに入れば何でも構いません。
今回は分かりやすく水とマヨネーズの二つにしましょう。
次にプレイヤー(回答者)という役があり、プレイヤーは目隠しをし、コップを持ちます。
これで準備はオッケーです。
傳導者は用意した数種類の中から何かを選択し、最初のプレイヤーのコップに入れます。
今回は水を入れましょう。
水を入れられたプレイヤーはその感覚を覚えます。
覚えたらコップと目隠しを取ってもらい、自分も目隠ししている次のプレイヤー(回答者)のコップに自分が入れられたと感じたものを入れます。
この時はじめて、ひとり目のプレイヤーは用意されているものに何があるのかを知ります。
今回は水だったので、水をプレイヤー全員が傳えることができれば、プレイヤー側の勝利となります。
できなければ傳導者の勝利、というゲームです。
このゲームと分解組手に共通するのは、自分が感じた感覚が答えであるということです。
コップに入るのが水とマヨネーズでは感覚が違います。
その感覚を覚えて次のひとにも感じさせる。
コップに水が入る時、その感覚を覚えるためその瞬間は我が消えて、自分を手放しています。
可能な限り我を薄め、自分を手放せることが真実を見極めるコツです。
分解組手ではコップに水が入る瞬間が「術を掛けられた感覚」であり、それを傳えるのが術を再現するための答えです。
これが分解組手で體感するものです。
そうやって分解組手の術が再現できたのなら、結果的に②物理法則のコントロールや③意識操作によって行われた術になっています。
なぜなら、この瞬間は自分を手放し捨て身になっているからです。
そのため身体操作をする意思を持つことができません。
ここでよく言われることがあります。
「でも身体操作してないと動けないですよね?」
その質問には、
自分を手放す(捨て身になる)→結果的物理法則のコントロール&意識操作による術の再現=物理法則や意識操作による結果的真體操作が起こる
というのが答えになります。
分解組手で體感するものまとめ
①我を薄め、術を掛けられた感覚を覚える
②自分を手放し捨て身になり、術を掛けられた感覚を受け手に傳える
③結果的真體操作を感じる
④できた!の感覚(達成感)がないことを知る
⑤それがあたりまえだと理解していく
追伸
先生や兄弟子から受ける手解きがそもそも間違っている場合は当然ですが、術を再現することはできません(>人<;)
まずは良き師と出会えますよう(^人^)
このブログは武道から学んだわたしの哲学を書いています。
何かのお役に立てれば幸いです。
江村拝
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